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ちゃぶ台

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画像は修理を依頼されたちゃぶ台で うらに昭和二十七年と記されています。
3枚の板を矧いだ天板は のりがきれて バラバラで 脚のほうもほぞがゆるんで 抜けている状態です。
それでも 半世紀たってもなお すこし手をかければ まだまだ現役です。 
それに 時間を経た木の表情は 人の技術では 再現できません。

この折りたたみ脚の構造は 天板下の幕板に太枘を軸に回転する脚を 起し桟で固定する単純なものですが、金具を使わず 木材の弾力と摩擦力などの性質をうまく利用した造りになっており、懐かしさとともに 仕組みに感心してしまいます。

子供の頃、狭い部屋のなかで ごろごろ転がしたりもしましたが 折りたたみの動きがおもしろくて、何度も 脚を畳んだり出したりしました。 今の 合体ロボットのおもちゃのような メカニックな感覚だったのでしょうか。

こどもの時の印象から ちゃぶ台は杉のような軽い材で出来ていたと思い込んでいましたが、使われている材は けやき、せん、たも、くりなどで、圧倒的に せん(ハリギリ) で作られていました。せんちゃぶ といわれたりするそうです。

小さい木工の作業場をつくってすぐの時、ちゃぶ台を依頼されました。丸ではなく四角で、トチノキでつくって 漆をぬりました。 それを 依頼主の住む ドイツに送りました。
いまどうなっているか 時々気になります。ちゃんと役目を果たしてくれているかなぁと。
Commented by waki-san at 2005-03-13 23:10
このちゃぶ台、私と同じ歳だ。うむうむ、修理しないと使えないのか。しみじみ。しかし、もう少し頑張ろうかな。
市内を走っていたチンチン(路面)電車も、昭和27年製が多く、「おれと同じ歳」だと思って、利用していました。引退した電車は、現在、四国は松山で活躍されておられるそうな。
Commented by kinokoji at 2005-03-19 00:51
私は昭和の31年なので このちゃぶ台のほうが先輩です。
人も 時々病院へ行くように 家具もいつまでも新品同様でいられないし、またそれだから 味わいも深くなり・・・・
法隆寺を支えたのは 西岡氏が言うように ひのき だからではなく、本当は いつも修理しつづける人がいたから あんなにも建ち続けることができたのだと思っています。
by kinokoji | 2005-03-13 03:04 | 意匠 | Comments(2)